若手心理士だった頃の自分へ|事例検討会の資料作成で最初に知ってほしかった心構え
心理臨床系の大学院に入学すると、カンファレンスや事例検討会に参加する機会が増えます。
ケースを担当するようになると、SV(スーパービジョン)や事例検討会で発表する機会も増え、そのたびに資料作成が必要になります。
そのとき、多くの初学者が最初に悩むのが、
「何を、どのくらい、どんな順番で書けばいいのだろう?」
ということではないでしょうか。
私自身もそうでした。
基本的には、大学院や職場で代々受け継がれてきたフォーマットや、先輩方の資料を参考にしながら作成することが多いように思います。
でも、フォーマットにあわせて書き出しても、どこかしっくりこない。
そして冗長すぎる気がする…。
そんな経験が何度もありました。
そして、もう一つ悩んでいたことがあります。
それは、「事例検討会が怖い」という気持ちです。
時代的な背景もあると思いますが、以前は、
「なんで聞いていないの?」
「なんでここ深めなかったの?」
といったコメントが飛び交う検討会も少なくありませんでした。
もちろん、それらはケース理解を深めるための質問だったのでしょう。
けれど、発表者にとっては「責められている」と感じてしまうこともあります。
私にも忘れられない出来事があります。
大学院に入学したばかりの頃、電話受付を担当したケースをカンファレンスで報告した際、聞き漏らした項目について、
「なんで聞いていないんですか?」
と質問されました。
私は心の中で少しムッとしながら、
「聞き忘れたことに理由はありません。忘れたから忘れたんです。」
と返してしまいました。
今思えば、当時の精一杯の防衛で、若気の至りです(笑)
でも、この経験から私は、
「情報に漏れがあってはいけない。」
そう思うようになり、資料にはできるだけ多くの情報を書こうとするようになりました。
すると今度は、
「長すぎる。」
「もっと端的に。」
と言われます。
その塩梅の、なんと難しいことか!
後で振り返ると、私はずっと勘違いをしていました。
事例検討会の目的は、完璧な発表をすることではなかったのです。
事例検討会は、発表者を評価する場ではありません。
担当者がケースをより深く理解し、その学びをクライエントへの支援へ還元するための場です。
発表者が検討会後に新しい発見をしたり、「よし、明日からも臨床頑張ろう」と思えるような場であるべきだと私は思うのです。
だから本当に大切なのは、
「突っ込まれない資料」
を作ることではありません。
むしろ、
「私はここに悩んでいます。」
「私はここがよくわかりません」
「このケースをどう理解すれば良いでしょうか」
ということが参加者に伝わる資料を作ることなのだと思います。
私は、この考え方に変わってから、怖さが薄れ、事例検討会を「学ぶ場だ」と思えるようになりました。
では、実際にはどのように資料を作れば「議論しやすい資料」になるのでしょうか。
私が普段意識している考え方や資料作成の流れ、テンプレートは、以下のnoteに詳しくまとめています。
このnoteでは、
・検討点をどう決めるのか
・情報をどこまで載せるのか
・私が実際に使っている資料構成
・「見立て」をどう言葉にしていくのか
など、普段私が資料作成で意識していることを具体例を交えながら紹介しています。
若手の頃の私が、あのとき誰かにこんな話を聞けていたら、もう少し方の力を抜いて事例検討会に臨めていたかもしれません。
同じような思いを抱えながら日々臨床に向き合っている方へ、この経験が少しでも参考になれば嬉しく思います。
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