心理検査は、受検者の心理的な特性を多角的に理解し、より適切な支援を検討するための重要な手がかりとなる専門的なツールです。
検査を実施する心理士(師)は、数値データに加えて、受検者の様子や反応を丁寧に観察します。これは、検査結果を深く解釈し、個別性に応じた支援につなげるために欠かせないプロセスです。
この記事では、心理検査の際に心理士が注目している観察ポイントを、具体的にご紹介します。
検査への取り組み方・態度
意欲・集中力
努力の程度
反応時間
教示の理解度
検査に対するご様子
協力性
言葉による表現
発言内容
話し方
感情表現
非言語的要素との一致

言葉によらない表現
表情
視線
姿勢
身振り手振り
生理的な反応

その他の観察ポイント
服装・身だしなみ
これは受検者の方の管理能力や社会生活への適応の一側面を示す可能性として考慮します。
検査環境への適応
特異な行動
観察の意図と注意点
心理士(師)はこれらの様々な観察を通して、受検者の方の認知機能、感情、性格の傾向、
対人関係、行動の特性などを、より総合的に理解しようと努めています。
大切なことは、一つの観察結果のみで判断しないことです。
検査結果の数値データや他の観察情報と合わせて、慎重に解釈を進めます。
また、受検者の方の文化的背景や発達段階なども考慮に入れながら、多角的な理解を目指しています。
心理検査における観察は、受検者の方への理解を深め、より適切な心理的なサポートを提供するための、非常に重要なプロセスです。
若手心理士のみなさんへ
私たち心理士(師)が受検者の方の全体像を理解しようと努めるのと同様に、受検者の方もまた、検査者である私たちを観察し、この心理士は信頼できる人物かを見極めようとしていらっしゃるという視点は、常に心に留めておく必要があるでしょう。
この点を深く認識し、受検者の方がご自身の力を最大限に発揮し、その方らしさを検査の場で十分に表現できるよう、心理士(師)としてどのように「居る」べきか。
今回の記事が、私たち自身のあり方を改めて見つめ直す一助となれば幸いです。