臨床スタートガイド

心理士”らしい”服装について考える

ここまで、具体的な物語を通して、
心理士としての服装選びについて見てきました。

結局、どんな服を着ていけばよいのか、
混乱してしまわれた方もいらっしゃるかもしれませんね。

そこで、今回は判断基準の一つとして、
私の服装の選び方を超単純化したフローチャートでご紹介します。

もちろん
どんな場面でも例外というのは存在しますので、
あくまで参考に留めていただくと良いと思います。

洋服選びのフローチャート

Q1 制服はあるか。

 あり → 制服を着用。

 なし → Q2へ

余談ですが、制服(白衣)を付与されたけれど、「権威の象徴として患者さんに会いたくはない」と主張して、白衣を着ずに仕事をしている、という何人もの心理士さんにお会いしたことがあります。それだけ、どんな人物として目の前の方に会いたいか、熟慮されている、ということだと思います。

Q2 職場の規定はあるか。

 あり → 規定に従う。

 なし → Q3へ

もしも、入職先の職場が心理士を初めて雇うという場合、あなたにユニフォーム選びを託されることがあります。その職場の風土や組織の性質、その中で心理士としてどのような存在でありたいかを言語化すると、おのずとどのようなユニフォームが良いか選択が絞られてくるのではないでしょうか。

Q3 対象は大人か?子どもか?

 大人  → 基本はオフィスカジュアル。

 *クライエントがビジネスマンであれば、ジャケット着用がベター。

 *対人緊張が高めの方であれば、柔らかい色味でカーディガンスタイルなど。

 子ども → Q4へ
Q4 検査実施か?それともプレイか?

 検査 → オフィスカジュアル寄り。

*視覚刺激に弱い子もいるため、落ち着いた色味で無地の服がベター。
*千鳥格子柄やチェック柄、細めのストライプ柄などは、柄酔いさせる可能性もあるので避けた方が良い。

 プレイ → 動きやすいカジュアルな服装,パンツスタイル。

スカートスタイルでプレイをする心理士さんもおられるようですが、パンツスタイルが動きやすくて、個人的にはパンツスタイルの方が良いのではと思います。

まとめ

以上、いかがでしたでしょうか。
みなさんの臨床場面での服装選びの参考になれば幸いです。

最後に
タイトルにわざわざ「心理士”らしい”」
とつけたことに
疑問を持たれた方もいらっしゃるかもしれませんね。

それこそが
今回この記事で最もお伝えしたかったこと、そのミソです。

ここまでの文章の要所要所で出てきていることでもありますが、
結局何が言いたかったかと言うと、

心理士”らしい”服装とは

目の前のクライエント、ケースの様相を見立てたうえで、どのような人物として出会おうか考え抜かれて選ばれた服装

ということになります。

服装に限らず
なぜ自分が臨床場面でそのような言動を選んだのか、
それがクライエントにとってどのような臨床的意味を持つのか
を説明できるようになることこそが、
心理士としての専門性
につながる、
と私は思っています。

そのためには、日頃から、
ご自身の言動に意味づけをする練習
をするのもお勧めです。

そのための一つの足掛かりとして、
上記フローチャートをご参考にしていただけたら幸いです。

1 2 3

この記事をご覧いただいた皆さまへ

本記事は、心理臨床の専門家の方々を対象として執筆しています。専門的な内容を含むため、心理臨床を専門としていない方には、少しわかりにくく感じられるところがあるかもしれません。できるだけ誤解のないように、丁寧に言葉を選びながら書いております。ご理解いただけますと幸いです。

また、本サイトの内容は、医療行為・診断・治療を目的としたものではなく、一般的な情報提供を目的としています。個別のご相談には対応しておりませんので、あらかじめご了承ください。