「自分が将来どんな臨床家になっているのか、まったく想像できない」
「一人前として働く自信が持てない」
「5年後の自分が何をしているのか、どんな姿でいるのか分からない」
そんな不安を抱えていると、今何を頑張ればいいのかも見えにくくなりますよね。
そんな方向けに、【臨床心理士が振り返る】学生時代にやっておけばよかった5つのことを紹介しています。
以上の5つのことを踏まえて、さらに自分事として今必要なことを考えやすくなるように、体験を促すワークを用意しました。
この記事では、そんなあなたに未来への道筋を見つけるヒントとなるワークを紹介します。これは心理療法の手法のひとつ「ソリューション・フォーカスト・アプローチ」で使われる「ミラクルクエスチョン」を活用したものです。
ワーク:5年後の自分に会いに行こう
このワークは、想像力を使い、5年後の自分と対話することで、今やるべきことや将来へのヒントを見つけるものです。
ワークの目的
このワークは、単なる空想ではありません。
未来の自分と対話することで、価値観や優先したいこと、そして「本当に大切にしたい方向性」を見える形にすることが目的です。
紙とペンを用意して行えば、感じたことをすぐメモでき、より効果が高まります。

ステップ1:リラックスする
まずは椅子に深く腰掛け、背もたれに体を預けましょう。
目を閉じて呼吸に意識を向けます。
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3秒かけて息を吸う
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3秒そのまま止める
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5秒かけてゆっくり吐く
この呼吸を5回繰り返します。
吐く息とともに肩の力が抜け、心が静まっていく感覚を味わってください。
呼吸が整い、頭の中のざわつきが落ち着いてきたら、次のステップへ進みます。
ステップ2:5年後の未来への旅
リラックスした状態で、再び目を閉じます。
自分の人生を早送りするように情景を思い浮かべます。
今日から5年後までを、ゆっくりと映像でたどっていくイメージです。
もし今が大学院修士課程2年の夏なら、修士論文の執筆や外部実習に追われている頃かもしれません。
季節は巡り、冬になるとケースの終結や引き継ぎがあり、春には修了とともに国試の合格発表。
喜びと安堵のなかで新社会人としての一歩を踏み出します。
そこからさらに4回、春・夏・秋・冬の季節を重ねます。
その間には、仕事のやりがいや成長を感じる瞬間もあれば、悩みや壁にぶつかる時期もあります。
それらを乗り越え、あなたは5年後の地点に到着します。

ステップ3:5年後の自分にインタビューする
5年後のあなたは、どんな場所で、どんな表情をして、どんな毎日を過ごしているでしょうか。
服装、周りの景色、働く環境、そばにいる人の姿まで、できるだけ具体的に描写してみてください。
そして、その5年後の自分に、質問を投げかけてみてください。
- 「今、私は幸せですか?」
―もし幸せだと答えたなら、その幸せはどんな部分に感じていますか? - 「この5年間、どんなことに力を入れてきましたか?」
―どんなスキルを身につけましたか?どんな人と出会いましたか? - 「5年前の私に、何かアドバイスはありますか?」
―「もっと〇〇しておけばよかった」と後悔していることはありますか? - 「さらにその先の5年後、どんな自分になっていたいですか?」
―次の目標や夢は何ですか?
思い浮かんだ答えは、そのまま信じて受け止めてみましょう。
意外なヒントや自分でも気づいていなかった願いが見えてくるかもしれません。
質問が終わったら、5年後の自分に感謝を伝え、そっと別れを告げます。
ステップ4:現在に戻り、気づきを探す
ゆっくりと時間を巻き戻します。
5年後の夏 → 春 → 冬 → 秋 → 夏…と季節を逆にたどり、国試や修論、就活を乗り越えた季節をさらに戻って、再び修士2年の夏、つまり“今”に到着します。
ゆっくりと目を開け、深呼吸をひとつ。
現実の時間と空間に意識を戻します。
ステップ5:ふりかえり
現在に戻ってきて、何を感じますか?
5年後の自分との対話を通して、新しい視点や行動のヒントが見えてきたでしょうか。
「これなら今すぐ始められそう」
「今まで迷っていたけど、優先すべきことが分かった」
そんな感覚が得られたら、ぜひ紙に書き留めてください。
頭の中だけで考えるよりも、行動に移しやすくなります。

まとめ:このワークを続ける意味
このワークは、将来に漠然とした不安を感じた時におすすめです。
未来の自分を具体的にイメージし、その姿からヒントをもらうことで、未来への具体的な道筋を見つけるための羅針盤になります。
一度きりではなく、迷いを感じた時に繰り返し行ってみることをおすすめします。
未来の自分が教えてくれた言葉や姿は、あなたの中にある希望や価値観の反映です。
そのメッセージを大切に、一歩ずつ前に進んでいきましょう。