試験を終えた皆さんへ
公認心理師試験、お疲れさまでした!
長い勉強期間を乗り越え、試験が終わり、少しホッとしている方も多いかと思います。ですが、秋には臨床心理士試験が待っていますので、少しずつ気持ちを切り替えていきたいところですね。まずは体力と気力をしっかりと回復させ、次の一歩に向けて動き出す準備をしていきましょう。
今回は、私自身が大学院修了後、社会人1年目で臨床心理士試験に向けて勉強していた時の実体験をもとに、「試験勉強を現場やケースの役に立てるための工夫」についてお話ししたいと思います。
社会人1年目、仕事と試験勉強の両立スケジュール
私の平日のスケジュールは以下のようなものでした。
仕事を終えた後の夜に勉強時間を確保する形でしたが、疲れ切った体で勉強を続けるのは決して楽なことではありませんでした。それでも、「自分が勉強した知識を、現場やケースに役立てたい」という思いが、日々の勉強を続ける大きな支えになりました。
試験勉強を現場に活かすために意識していたこと
私が大切にしていたのは、「試験勉強のために勉強する」のではなく、「学んだ知識を、目の前のクライエントにどう役立てられるか」を意識することです。そのために、以下のような工夫をしていました。
1. 担当ケースを通して
ケースが決まったら、カルテを読み込み、出てくる専門用語や診断名、処方薬、制度などを確認します。このとき、試験勉強用の参考書や過去問も活用しながら、「この知識はどうケース理解や支援につながるか?」を考えました。たとえば、DSMやICDの診断基準は、単なる暗記項目ではなく、患者さんの困りごとを理解する手がかりになるものですし、法律や制度の知識は支援の選択肢を広げるものです。
このように「この勉強が現場でどう役立つか」という視点で学ぶことで、単なる試験対策のための知識にとどまらず、実践に活かせる知識として自分の中に定着させることができました。
2. ケース後の振り返りで知識を深める
ケースが終わった後は、その内容を振り返りながら関連する診断基準や心理療法、検査などを確認していました。「この見立ては、何に基づいていたのか?」「このケースは、他にどのようなアプローチが可能か」など改めて整理し、必要があれば事例集や論文を読み直して学びを補強していました。
こうした振り返りは、ケースの理解を深め、より良い支援を提供するための学びにもなりましたし、結果として試験勉強にも自然とつながっていきました。
3. 出題されやすい心理検査
心理検査を実施する際も、単に手順を覚えるのではなく、「この検査で何がわかり、どうクライエントへの説明や支援に活かせるのか?」を意識して勉強していました。その過程で、検査の理論的背景や適応範囲についても学び、さらに過去問でどのように出題されるかを確認することで、知識を整理していました。
現場で使っている検査が最新版でない場合もあるため、その場合はどこがどのように改定されたかも合わせてチェックしました。
4. 勉強会や研修で得た知識を、試験そして実践に活かす
勉強会や研修で学んだ知識は、そのまま流さず、必ず参考書や過去問にあたって復習し、「これを実際のケースの説明にどう使えるか?」「自分の支援にどう活かせるか?」を考えていました。わからない専門用語や、検査名なども必ずメモ。あとから調べて参考書にチェックを入れるようにしていました。
この積み重ねが、試験勉強にも役立つと同時に、日々の実践の質を高める助けにもなりました。
試験勉強は、ケースのための学びになる
臨床心理士試験の勉強は、単なる資格取得のためだけのものではなく、ケースをより深く理解し、より良い支援を届けるための学びだと私は考えています。
試験の事例問題では、「このケースではどのような背景が考えられるか?」「どのような支援が適切か?」を問われますが、これはまさに日々の臨床で求められる視点そのものです。
もちろん、現場のケースは試験のようにシンプルではなく、複雑で、正解のないものばかりです。それでも、試験勉強を通して幅広い知識を身につけておくことで、クライエントの多様な状況に対応できる「引き出し」を増やすことができます。
使用した参考書と補足
私が勉強の中で特に役立てていたのは以下の参考書です。
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心理学専門校ファイブアカデミー『一発合格!臨床心理士対策テキスト&予想問題集』心理学専門校ファイブアカデミー 『一発合格! 臨床心理士対策テキスト&予想問題集 単行本(ソフトカバー)』
おわりに
仕事と勉強を両立しながら臨床心理士試験を目指すのは、簡単なことではありません。それでも、試験勉強を「資格取得のための勉強」にとどめず、「クライエントや現場の役に立つ学び」に変えることで、日々の臨床がより深く、意味のあるものになっていきます。
これから試験を目指す皆さんの努力が、クライエントの支援につながり、やがてご自身の力になることを心から願っています。