臨床心理士試験の一次試験(筆記)を終えた皆さん、本当にお疲れさまでした。
ここからはいよいよ「二次試験」、つまり面接試験のステージです。
臨床心理士資格試験の2次試験(面接)は、筆記とは違い、答えが明確でないやり取りの中で、自分の考えや姿勢を言葉にしていく必要があります。
そのため、「どんなことを聞かれるんだろう」「雰囲気は厳しいのかな」と不安になる方も多いと思います。
この記事では、二次試験の概要から、私たちが実際に受けた面接試験の流れや雰囲気、実際に聞かれた質問内容をご紹介します。
これから受験する方の参考になればうれしいです。
二次試験の概要:何を見られる試験なのか
臨床心理士試験の二次試験は、「面接形式」で行われます。
受験者1名に対し、2〜3名の試験官が担当し、おおむね15分前後で進行します。
当日の流れ
はじめに、面接時間の近い受験者が待合室で待機することになります。
面接時間は大学院ごとにくくられるので、面接開始までは同期と過ごせる安心感もありました。
順番のまわってきた受験者から呼び出され、面接室へ移動します。
面接室は複数設けられており、受験者によって入室する部屋が異なります。
体験談
私が受けた年は、面接はおよそ10分ほどでした(体感ではもう少し長く感じて、退室後に時計を見て「10分!」と思ったのをよく覚えています)。
面接官は男女2名で、どちらも落ち着いた印象の先生方でした。
女性の先生がメインで質問をされ、もう1名の男性の先生がところどころで補足のように質問を挟む形でした。
この試験では、知識量よりも「臨床家としての基本的資質」が評価の中心になります。
具体的には、以下のような観点が重視されます。
- 倫理観・守秘義務への理解
- 自己理解と自己省察の姿勢
- クライエントとの関わり方
- スーパービジョンやチーム連携に対する考え方
- 実践経験の理解と整理
言い換えれば、「この人は臨床心理士として安全に、誠実に働けるか」が問われる試験です。
派手な知識よりも、落ち着いた態度と誠実な回答が何より大切です。
また、社会人経験のある受験者については、本来の職種と臨床心理士としての働き方の違いについて問われることが多いので、その点、言語化できるように準備しておくとよいでしょう。
実際に聞かれた質問集
私たちが実際に受けた質問をいくつか挙げます。
質問そのものよりも、「なぜそれを聞かれているのか」という意図を理解することが大切です。
Tic.体験談
面接官は2名いらっしゃり、一人の方がメインで質問をされ、もう一人の方が補足的に質問してくださる形で対話形式で面接が進んでいったと記憶しています。
質問をメモしていたわけではないので、うろ覚えですが、以下のような質問をされたと記憶しています。
「イニシャルケースについて教えてください。」
「普段どんな臨床領域で、どんな仕事をしているか教えてください。」
「その仕事を行う上で難しい、大変だと感じることは何ですか?」
「そのような大変な中でのリフレッシュの仕方、どのように工夫していますか」
Ket.体験談
私の場合、提出していた書類をもとに質問が進みました。
当時は医療機関と教育機関(スクールカウンセラー)で勤務していたため、それぞれの仕事について具体的に聞かれました。
「医療機関での直近1週間の仕事内容を教えてください」
この質問から始まり、そこから話を広げるように次々と質問されていきました。
「あとはどこで勤務していますか?」
「勤務先の違いが大きいと思うけれど、どちらが魅力的?」
(少し冗談交じりの口調で)
「集団療法はどんなことをしていましたか?苦労したことは?どう対応しましたか?年齢層は?」
スクールカウンセラーとしての活動についても聞かれました。
「印象的だったケースや出来事を教えてください。そこで工夫していることはありますか?」
「査定はどのように行っていますか?」
大学院時代の実習についても少し触れられました。
「実習はどこでされましたか?」
「ケースでの査定はどのくらい・何をしましたか?印象的だったケースは?」
途中で少し意外だったのが、筆記試験(1次試験)に関する話題も出たことです。
「1次試験の出来はどうでした?難しかった?どの問題が難しかった?」
「もう一度受けたら100点取れそうですか?」
「同期のみんなで答え合わせした?」
最後のほうでは以下のような質問があり、これまでの臨床経験だけでなく、今後の方向性や興味関心についても聞かれました。
「今後はどんな仕事をしていきたいですか?」
「研修はどうしていますか?」
「修士論文のテーマに関して、その心理療法のどんなところが好きなの?」
面接の雰囲気
体験談
全体を通して、いわゆる「口頭試問」というよりも“対話”という印象が強かったです。
一問一答で知識を問われるというよりも、臨床心理士としてどんな姿勢で臨床をしているか、資格をどう理解し、今後どう活かしていきたいのかを見られているように感じました。
面接官のお二人とも穏やかな雰囲気で、冗談も交えながら話を引き出してくださったので、緊張はしていたものの、自分の言葉で話すことができました。
面接対策の基本方針:誠実・整理・落ち着き
面接中は常に、臨床心理士業務の4本柱を念頭に置いて、質問に耳を傾けると、自ずと答えるべき事柄がイメージできやすくなると思います。
<臨床心理士業務の4本柱>
1.臨床心理査定
2.臨床心理面接
3.臨床心理的地域援助
4.調査・研究
そのうえで、以下の3点を意識して臨むと良いと思います。
①誠実に答える
わからない質問には、無理に答えようとせず「現時点では十分に理解できていませんが、現在の私ではこのように理解しています」と正直に伝えることが大切です。
「知ったかぶり」は、臨床の世界では危険と捉えられることがあります。
私も、すぐに適切な答えが思い浮かばなかった時、「難しい質問ですね…」と応答して頭を抱えました。面接官はにこやかに待ち、質問の補足をしてくださいました。
要は、誠実に対話しようとする姿勢が重要なように思います。
就職活動のように試験前から用意されていたような応答は、この面接試験においては、血が通わず適切ではないように思います。
② 話を整理して伝える
「結論 → 理由 → 具体例」の順で話すと、落ち着いた印象を与えられます。
話を整理して相手に伝える力は、多職種連携の際にも重要です。日頃の業務の感覚で完結に相手に伝えられるようになる練習は、この二次面接においても有効だと思います。
③ 態度と言葉の一致を意識する
心理士として「非言語の表現」も大事にしたいところです。
姿勢、声のトーン、相手への視線、言葉遣いなど、穏やかで誠実であることを意識しましょう。
模擬面接とフィードバックの活用
出身大学院で、模擬面接の機会が設けられることがあります。
これを「リハーサル」として活用しましょう。
模擬面接では、想定質問への答え方だけでなく、話すスピード、表情、姿勢も客観的に確認できます。
また、スーパーバイザーや同級生からのフィードバックは貴重です。
「臨床家としてどう見えるか」という他者の視点を通して、自分の態度を整えていくプロセス自体が、すでに“臨床的成長”の一部です。
実際に私たちは、お互いにどんなところが臨床家として素敵と思うか、二次試験前に、お互いにフィードバックしあう機会をいただきました。今でもその当時のメモが支えになっています。
(実際にもらったフィードバック例)
- 柔らかい人当たりの中にも芯がある
- 意見の伝え方。言い回し、言葉選びのおかげですんなり聴き入れられる。
- グループの中で上手に動ける。さりげないフォローができ、それに助けられることが多い。
試験当日に向けての心構え
前日は無理に詰め込まず、体調を整えることを優先しましょう。
繰り返しになりますが、面接は「対話」です。
相手の言葉をよく聴き、自分の言葉で返すだけで十分です。
緊張は当たり前。
むしろ緊張の中で誠実に考えようとする姿勢こそ、心理士としての誠実さを示します。
「完璧に話そう」と思うより、「今の自分の考えを丁寧に伝えよう」と切り替えることが大切です。
まとめ:臨床家としての“あり方”を伝える場
二次試験は、「臨床心理士になるための最終関門」であると同時に、「臨床家として自分を見つめ直す時間」でもあります。
質問自体は専門的な知識というよりも、これまでの経験や日々の臨床での姿勢をもとに話せる内容が中心です。
面接官はあなたを試す相手ではなく、同じ臨床の世界で働く先輩として、「この人は臨床心理士としてどんな姿勢を持っているのか」を知ろうとしてくださっている印象でした。
- クライエントに誠実であろうとするか
- 学び続ける姿勢を持っているか
- 自分の限界を理解し、支援を提供できるか
これらを自分なりの言葉で伝えることができれば、十分に合格水準だと思います。
特に、
-
所属先や実習での仕事内容や体験を具体的に整理しておくこと
-
印象に残っているケースや学びを自分の言葉で話せるようにしておくこと
-
今後どんな領域でどんな心理士になりたいかを考えておくこと
この3つを意識するだけでも、落ち着いて答えやすくなります。
肩の力を抜いて、自分らしく言葉にしていけば大丈夫だと思います。
最後にもう一度。
二次試験は「知識を問う試験」ではなく、「臨床家としてのあり方を確かめる面接」です。
この記事がこれから面接試験を受ける方の参考になれば幸いです。

